火の管理が心配になったらIHキッチンがおすすめ

年齢が上がるに連れてさまざまなリスクが高まってきますが、特に多いのが家庭内で発生する事故です。
内閣府が2017年に実施した調査によると、シニア世代の住宅内での事故の発生場所は居室が最も高く45.0%、次いで階段の18.7%、台所・食堂17.0%となっています。

台所・食堂での事故は第3位ですが、火を使う場所なので火災へと繋がる恐れがあり、とても危険です。
自宅での火災で死亡した人の7割以上がシニア世代となっており、台所の火の管理はシニア当事者はもちろんのこと、離れて暮らす子ども世代にとっても心配事項となっています。

台所での事故で特に注意したいのがガスコンロの火の消し忘れや、コンロの火の衣服への燃え移りです。

このような不安があるため、シニア世帯ではガスコンロからIHキッチンへと切り替える人が増えています。

4割が火の不安でIHキッチンに切り替え

調理機器の販売メーカーである東興株式会社が実施した調査によると、シニア世代がIHキッチンに切り替えた理由で最も多かったのが、掃除のしやすさなどの利便性の47.7%、2位が火の使用に対する不安の39.9%と続きました。
また、シニアを親に持つ子ども世代の40.9%が、親の火の使用に対して不安を感じていると回答しています。
いずれの世代も、約4割の人が火元の不安からIHキッチンへの切り替えを検討していることがうかがえます。

IHキッチンは火が出ないので火の消し忘れや、調理中に衣服の袖などへの引火の危険がなく安全に使えるのがメリットです。
スイッチを入れても、金属製の鍋を置かない限り鉄板が熱くならないのでやけどの心配もありません。

参考記事
本当に便利になった?シニアのキッチン事情 IHコンロ切り替えで減少した子ども世代の「火の元の心配」

実際に使うと不便の声も!

実際にIHキッチンに切り替えたシニア世代の感想をみてみましょう。
なんと、IHキッチンに切り替えたシニア世代の約4割が、不便と答えています。

不便と感じる理由で最も多かったのは、調理器具がIHキッチン対応商品しか使えないことの65.7%。
次いで、フライパンを振るとスイッチが切れるの43.3%、火力が低い37.3%と続きました。

ガスコンロの火力に慣れているシニア世代にとって、IHキッチンは火が出ないため使いづらいと感じる人が多いようです。

アンケートでは、回答者の5人に1人(20.2%)が、ガスコンロに戻したいと答えています。

しかし、使いづらいとはいうものの安全面への信頼度は高く、65%のシニアがこのままIHキッチンを使い続けたいと答えています。

シニア世代にとっては長年使い慣れてきた器具の方が使いやすいのでしょうが、安全性を考えると、やはりIHキッチンに軍配があがりそうです。

最近ではIHキッチンで使える土鍋など調理器具の種類も増えていますし、シニア世代が使いやすいように音声ガイダンスがついたIHキッチンも販売されています。

IHキッチンとガスコンロのメリットとデメリットをよく把握して、より安全で使いやすいものを選びたいですね。